水質監視装置(生物センサー)

はじめに

人類の生活に多大な貢献をしてきた化学物質は現在では広範囲に環境を汚染しており、様々な環境媒体を経由して人類を含む生物に対し悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。

実際に河川に係わる汚染事故は度々報告され、水源における機械故障、人為的なミス、産業廃棄物等の不法投棄、または意図的なテロによる毒性の高い化学物質の混入の危険性は常に存在している。

監視を実施する際に検査項目以外の化学物質や複数の化学物質が同時に混入した場合、化学分析のみで水質を判定する事は難しい。

現在、生物を用いた水質検査は取水口や浄水場などのサンプル水を現場の貯留水槽に引き込み魚類(日本ではコイや金魚が一般的)を放し飼いにし、異常行動やへい死を定期的に観察して判断する方法がとられているが、この方法は連続的・客観的な監視が不可能であるため、魚類の行動を自動監視する手法(リアルタイムバイオモニタリング)が必要とされている。



バイオモニタリングとは

環境中に存在する有毒化学物質は生物において様々な影響を及ぼします。

その反応として、成長阻害、繁殖阻害や酸素活性阻害などを始め、異常行動、忌避行動や死亡が挙げられます。

このような化学物質による生態反応の変化を常時・連続的に観察し、化学物質の生態系へのリスク評価する手法をバイオモニタリングといいます。

※本装置は国立大学法人九州大学との共同研究によって開発されております。
大学では魚の性質・習性を研究しており、その研究成果と弊社の画像処理&監視アルゴリズム等の製品化技術とを融合させて、本装置は構築されました。



メダカセンサー

コンパクトVer(サンプリング水槽外部装置)
魚(メダカ)を用いた水質チェック
監視画面

水中の有害化学物質に反応したときのメダカの行動変化を3次元画像解析し、水質異常を判断します。

検査に用いるヒメダカは、OECD(経済協力開発機構−先進国30ヶ国からなる国際機関)の毒性試験対象魚に指定されています。

装置の特長

◆水質異常への素早い応答
常に魚の動きをカメラで追うことで、水質の異常を即座に捉え判断することが可能です。

◆24時間の連続水質監視
2つの検査水槽により、12時間毎の交代制で検査を行なうため、魚の疲労や衰弱による誤検出が抑えられます。

◆高い信頼性
九州大学農学部研究院との共同開発により、多くの検証試験を行なっています。これらの研究成果から設定されたパラメータにより、検出された魚の異常行動は高精度の警報として使用できます。

【オプション機能】
1.通知機能 …… 異常発生を携帯電話等の端末に通知することができます。
2.遠隔監視機能 …… 遠隔監視および遠隔操作が可能です。

水質異常の判定
鼻上げ行動

◆鼻上げ行動
有害化学物質が魚の呼吸器官に影響した場合、魚が空気中から直接酸素を取り込もうとするため、行動範囲が水面近くに集中します。

急速行動

◆急速行動
有害化学物質により魚が錯乱狂奔状態となった場合、遊泳速度の急速な変化を引き起こします。

死亡(遊泳停止)

◆死亡(遊泳停止)
有害化学物質により魚が様々な以上行動を呈した後に遊泳が不可能となり、最終的に死に至ります。

※上記以外にも各種行動を検出することが可能です。

2台のカメラによる3次元画像解析 2台のカメラによる3次元画像解析

コンパクトVer 装置仕様
型式 SNBD07-E01
電源 1φAC100V±10% 50Hz/60Hz
消費電力 メイン電源:MCB30AF/15AT
表示及び
演算処理部
ディスプレイ 17インチLCD液晶ディスプレイ
PC CPU:Pentium4 2GHz以上 メモリ:1GB以上
OS:Windows XP
PLC 入出力制御用ユニット
画像信号
入力部
CCDカメラ 1/3型、有効画素数33万画素CCD採用
画像処理
ボード
PICOLO Alert PCle
照明 LED赤色 照明面積62×62mm
水槽部 液面発信器 水位検出 φ12〜26
サンプリング
(警報時自動彩水機能)
採水(※1)
バックアップ電源 AC100V±10% 750VA/450W 5分間バックアップ
質量 本体:200kg(乾燥時) 飼育水槽(本体内臓)
外形寸法(mm) 750(W)×750(D)×1700(H)
使用条件 周囲温度:5〜30℃、検水温度:20〜25℃(※2)、
検水濁度:10度以下(※3)
使用湿度(周囲) 30〜80%(結露無きこと)
装置必要水流量 2L/min以上(最低必要水量は1L/min)
全揚程:装置底部より1.5m以上
メンテナンス
(設備環境により期間は
増減します)
水藻対策:検査水槽清掃/2週間毎
メダカリフレッシュ対策:メダカ交換/2週間毎

(※1)採水は水質異常時に自動採水バルブが開きますので、ポリタンク等を別設置頂き採水ください。
(※2)原水水温が20℃未満の場合は、内臓ヒーターにより検水温度を 20〜25℃に調整
(※3)原水濁度10度以上の場合は、別途オプションろ過器が必要

TOP